引き続き、家紋のお話です。家紋を確認するときに、紋帳をお見せしますが、紋帳に、書かれてない珍しいご紋に出会う事があります。紋帳に載っていないと『家の紋が間違っているの?』と心配なさる方がお出でますが、紋帳に記載されていない紋は多々有ります。そんな場合、昨日も書いたように、ご先祖様のお墓に行くこともありますし、墓地まで行かなくても、男性の紋付きの着物や、紋の書かれた提灯などあれば、その家紋を写し取ります。随分以前の話しですが「三つ重ね松」のご紋にこんな思い出があります。提灯を見せていただき、写真に撮らせていただいたのですが、細部まで分かるように、大きく現像して、よく見てみるとご紋が、左右対称でないのです。もちろん、まるっきり左右対称でない紋もあるのですが、多くの紋は、部分的にしろ左右対称の場合が多いのです。写真に写された「三つ重ね松」は、松の葉を表す細かな線が、右と左かなり違うのです。早速お施主様にのお宅にお伺いし、ご説明差し上げ、お話を聞くうちに、提灯の紋が代々伝わるものではなく、ご近所の絵のうまい方に画いていただいたと、分かりました。幸い、お施主様のご紋が「三つ重ね松」と、分かっていましたので、紋帳の中にある「三つ重ね松」をお彫りすることになりました。また、家紋の図柄は知っていても、紋の名前を知らない方も多いです。私が、紋帳を初めて手にとったとき、種類の多さに驚いた以上に、一つ一つのデザインの見事さや、日本人の持つ細やかな感性に、本当に感動してしまいました。機会が有れば、紋帳をご覧になって下さい。紋の持つ、美しさに改めてお気づきになると思います。
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