HPの掲示板に、まほろばさんから、石の赤錆(あかさび)についてのクレームのご質問がありました。このご質問、かなり専門的な事で、普段お客様に知らすことの無い、でも、石に関わる人たちの隠れた努力が伝わるお話です。いい機会なので、多くの方の目に留まるブログで書かせていただくことにしました。尚、写真は原石の断面を写したものです。石に赤錆のクレームというのは、あると思います。何しろ自然のものなので、風雨にさらされているうちに、採掘した時には予測できなかった、元々持っていた石の本質が、(赤錆だけでなく、何年後かに出てくるキズ)出てくる場合があります。人間で喩えれば、こんな所に、ほくろが出来てるとか、シミが濃くなった・・・・とか、いう感じでしょうか。ただ、この錆は青木石くらい採石の歴史があれば、経験から予測が付くこともあります。
うちは、元々原石採掘していたので、錆が数年後に出る可能性の高い石の層は青木石に関しては、大よそ見当がつきます。で、そういう層から採掘される青木石を使いません。国産の石に関しては『どこどこの山が、今状態がいいとか』その他諸々の情報が、原石の仲買業者さん、加工業者さんつながりで入ってきます。その情報を元に、自分の納得できる山の原石を使いますから、今の所、原石に関しても製品に関してもクレームはほとんど無いです。うちは現在原石を仕入れる側なので、何年後かに赤錆やキズのクレームを受けないように、クレームの出る可能性の少ない原石を仕入れることに、神経を使います。(でも、どんなに気をつけていても、自然の物なので、まったく無いとは言えません)それから、うちが原石をわけていただく山石屋さんは、『今回の石、加工切削の時この辺りにもしかして隠れとるキズが出るかもしれんよ』とか『ここの赤(写真の石の茶色い部分)が、見えんとこで広がってるかも・・』とか、採掘に関わった人のみが知る情報をくれます。その情報を元に、加工時に指摘のあった部分を考慮しながら、切削していきます。こういう気遣いがクレームの少ない状況を生み出してくれているのだと思います。お互いの長年の信頼関係があってこそ、言ってくれることや、石を大切に思っていることで生まれるお互いの配慮。普段、業界以外の方が知ることの無い、でも誇れる仕事を目指して、それぞれの立場の石屋が見えない所でしている努力なんです。まほろばさん、ご質問ありがとうございました。
コメント
リンゴなんかでもおいしそうだなぁと買ったら、その裏側が腐っていた・・・みたいなことはあるわけだけれど、リンゴと石碑とは一緒にできない。お値段があまりにも違うから・・・。 石もリンゴもだけれど・・・、中身や深層部までもはわからない・・・。確かに石屋さんには苦労する部分なんでしょうね・・・。私たちには伺い知れない目と知識と情報が必要なんだろうなぁ・・・と、思ったことでした。
まほろばさん、何時もコメントありがとうございます。自然の産物である石て、本気で付き合いだすと悩みは尽きません。ただ、原石採掘屋さん・加工石材業者さん・小売店さん、それぞれの立場で、石に対して求めることに多少の違いがあるのです。誰が欠けても、お墓は出来ないから、それぞれの立場を分かりながら、仕事を進めていく、その辺りの兼ね合いが、ホントのところ難しいです。まぁ、石屋として、よりベターを求めてると、自分が頑固で、こだわりが強すぎるのか?それで、周りに迷惑かけてないかな・・?て、時々、反省するんですよ。ほんと、悩みは尽きません。でも、これって何の仕事でも同じですよね。